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穏やかな時間(とき)
京都・西本願寺 新選組屯所である。 一番隊組長:沖田総司は彼の兄のような存在である副長の土方歳三(土方は嫌がっているが)と 元、彼の部下で現在は副長つきの小姓である神谷清三郎(本名:富永セイ 実は女子)と 甘味を食べるべく、団子を手に抱えて副長室へ向かっていた。 ちなみに、セイが女子である事を知っているのは、土方と総司の2人のみである。 今日は取り立てて事件もなく、穏やかな時間が流れていた。 ふと見ると土方が自室(副長室)の前の縁側に腰を下ろして手に小さな読本のようなものを持ち 何やらブツブツ呟きながら物思いにふけっているようだ。 総司は何をしているのか気になったので気配を消して土方に近づき、手元を覗き込んだ。 「何してるんですか?」 「うわぁっ!!」 いきなり横から顔を突き出され、耳のすぐ傍で声をかけられた土方は驚いて飛び上がった。 「失礼な!!私の顔を見てそんなに驚く事ないじゃないですかあ!!」 総司がほっぺたを膨らませて拗ねている。 「お…お前が悪いんだろうが!!いきなり顔を突き出して耳のすぐ横でしゃべるなっ!!」 「だって!何してるのかなって思ったんですもん!」 「お前は何をしてるのかを見るのにいちいち気配を消すのか?!」 「だって、お邪魔したら悪いかなって思ったから。」 「充分『お邪魔』してるわ!!」 「で?何してたんです?」 「////// あ…ああ。まあちょっと、発句をな。 //////」 土方が真っ赤な顔で照れながら言った。 「ええぇっ??!発句するのにあんな難しい顔して悩むんですか?!」 総司が思いっきり驚いて言った。 「…………どーゆー意味だ(ぴくぴく)。」 土方がこめかみを引きつらせて言った。 「【見たまんま】を書いてるんじゃないんですか??!土方さんの発句って!?」 「 …………………あんだと? 」 「だって!『梅の花 一輪咲いても 梅は梅』とか『鶯が来たから はたきで 追っ払った』とかっ!!」 「……てめぇ……喧嘩売ってんのか?それに『鶯が来たから はたきで 追っ払った』だあ?! あれは『鶯や はたきの音も ついやめる』だ!!『鶯』と『はたき』しか合ってないじゃねぇかっ?!!」 「だって他にもそのまんまのが…………ああ、これこれ!」 そう言って総司は土方の発句帳をパラパラとめくり、句をひとつ見つけた。 「『公用に 出てゆくみちや 春の月』って!!これもそのまんまじゃないですか!! 春の夜に黒谷へ行く途中で空を見たら月が出てたってんでしょう?!」 「てんめぇ……俺に殺されたいんだな………?」 土方が脇差の鯉口に手をかけて言った。 「ぶぷぅ─────っっ!!!!」 総司が思わず身を後ろに退きかけた時、副長室の中から噴き出す声が聞こえた。 「「 ?! 」」 土方と総司が部屋を見ると部屋の掃除をしていたセイがお腹を抱えて大笑いしている。 どうやら掃除をしながら土方と総司の会話を全て聞いていたらしい。 「おっ…おっっ……沖田先生!………最高!!」 そう言いながらギャハギャハ笑っている。 イラスト:春日様「駄……駄目ですよ!【いくらその通りでも】そんなこと言っちゃあ! 考えるのが苦手で【鈍感】な先生と違って副長は【一応】敏感なんですから!」 そう言いながらもまだ涙を流して笑っている。 「「 …………………。 」」 その言葉を聞いて土方が総司に小さな声で何かを言い、そのあと一瞬目を見合わせてこくりと頷き合った。 そして2人でまだ笑い続けているセイがいる部屋の中へと入って行き、ぴしゃり!と障子を閉めた。 総司は手に持っていた団子を部屋の隅へと避難させる。 「え゛?……あ……あれ?………副長?沖田先生?」 異変に気づいたセイがふと見ると土方と総司が自分を囲むように立っている。 「おい、総司。お前は足元を押さえろ。」 「承知!」 「…………え?」 セイが唖然としている間に土方がセイの頭の方へ、総司が足の方へと移動した。 「行くぞ?総司?いいか?」 「いつでもどうぞ!」 そう言うと土方がセイの両手を押さえ、総司が両足を掴んだ。 「きゃあっ?!」 「神谷!そんっなに笑いたいんだったら、思う存分笑わせてやろうじゃねぇか!!」 土方がそう言うと片手でセイの脇腹をくすぐり始めた。 ちなみにセイは土方の小姓になってから、出かける時以外は鎖胴衣をつけていない。 「きゃっ!……きゃはははっっ!!」 総司は足の上に座り込んで押さえつけ、足の裏をくすぐり始める。 「ぎゃあ────っっ!!はははは!!ぎゃはははっっ!!!」 「ほれほれ♪笑え笑え!!」 土方が場所を右に左に移動させてくすぐり続ける。 「やめて!!やめて!!ぎゃはははっっ!!きゃあぁ───っっ!!ははははっっ!!」 「ごめんなさいはっ?!」 総司がくすぐるのを少し中断しながら、涙を流し身を捩って笑い続けているセイに向かって言った。 それに合わせて土方も一旦くすぐる手を止める。 「きゃははっっ!!な……何で謝るんですか?!ほんとの事なのに!!」 それを聞いてまた2人がさっきよりも気合を入れてくすぐり始めた。 「ぎゃあぁぁ─────っっ!!きゃははははっっ!!!あははははっっっ!!!!」 「どうだ?降参か?なら、謝れ!」 今度は土方が言った。 「ご…ごっ……ごめんなさいぃ………………………………不本意だけど。」 その言葉を聞いてまた土方と総司がくすぐりを再開しようとした時、セイが再び口を開いた。 「ごめんなさいっ!……もう……やめて下さい………お願い…………。」 涙で潤んだ瞳に逃れようと暴れ回って肌蹴た襟元、紅潮した頬、吐息混じりの艶っぽい声。 それに土方と総司が反応した。 「「///// !! /////」」 2人ともしばらくそのままの姿勢で固まった。 何故か体中を熱いモノが駆け巡った。 そして土方と総司はお互いに相手の反応と自分の状態に気づいた。 2人ともほとんど同時に慌てて押さえつけていた手を放した。 そしてセイに背を向けるようにそっぽを向く。 漸く解放されて安堵したセイだが、何となく様子がおかしい2人を見て首を傾げる。 「あ……あれ?どうしたんですか?お2人とも?」 きょとんとしながら2人を交互に見る。 「///// べ……別に?!………も…もうこれぐらいで許してやるか?総司?! /////」 土方が顔を耳まで真っ赤に染めて総司を横目で見た。 「///// そ……そうですね!そうしますか?! /////」 普段思いっきり『野暮天』の総司も珍しく真っ赤な顔をしている。 「 ??? 」 どうして急に2人の態度が変わったのかセイは全くわかっていない。 「そ……そう言えば総司!お前は何をしに来たんだ?!」 「あ……ああ!そうでした!3人でお団子を食べようと思って来た……んですよっ!」 総司が避難させていた団子を迎えに行き、手に持って言った。 「いらんっ!」 「はぁ、はぁ……あ!じゃあ、私、掃除が終わったらお茶を淹れて来ますね?」 セイが息と身なりを整え、涙を拭きながら言った。 「///// い…いや!掃除はもういいから!今すぐ茶を淹れてくれ!! /////」 土方がまだ真っ赤な顔でぶっきらぼうに言った。 「え?……でも、もう少しで終わりますから。」 セイがきょとんとしている。 「///// いいから!! /////」 土方はともかくセイを一旦この部屋から出させたかった。 その間に自分の気持ちを落ち着かせるつもりであった。 そして口を挟まないところをみると、どうやら総司もそれを望んでいるのだろう。 「???……そうですか?じゃあ、行ってまいります。」 セイが首を傾げながら厨へと出て行った。 2人きりで部屋に残った土方と総司の間には何だか気まずい雰囲気が流れていた。 お互いに相手を伺うように横目でチラッと見る。 「///// な……何だっ?! /////」 総司と目が合った土方が聞いた。 「いえ……別に?」 総司が疑わしげな目つきで土方を見る。 (総司のやつ……『野暮天』だと思ってたが、さっきの神谷の様子にしっかり反応してやがったな……。 もしかして、こいつ神谷の事を……?) (土方さん……さっきの神谷さんの様子にしっかり反応してましたよね? あなたは童は趣味じゃなかったんでしょう?違うんですか?) さっきまでの賑やかさは何処へやら。しばらく気まずい沈黙が続いた。 2人とも今までセイに対して特別な感情を抱いた事はなかった。 しかし、何だか妙な気持ちがどこかから溢れ出てくるのを確実に感じていた。 そして、それと同時に土方は総司の、総司は土方の反応がこの上なく気にかかっていた。 セイが3人分茶を淹れて戻って来て、障子を開け放し、3人で団子を食べている。 「ああ……いいお天気ですねぇ……。」 セイはのほほんと庭を見ながら茶を飲んでいる。 だが、後の男2人はセイをジッと見つめたかと思うと自分と同じ行動をしているもう1人に気づき その度にお互いに目を逸らしながら、気まずい雰囲気で茶を飲み続けた。 結局、穏やかな時間を過ごしているのは、セイただ1人であった。 ******************************************************************** 今回は趣向を変えてみました〜〜〜〜! 二人のやり取りが可笑しくて笑ってしまったセイちゃんです♪ 総司と歳もホントは入れたかったんですが、断念しました。 ・・・どうでしょう? 背景とか渋かったかしら・・・?! フリーのときはいつもセイちゃんのみになってるので・・・。 次回はきっと他のキャラも描きたいと思います! ・・・保証は出来ませんが!! =春日= 2004.09.03 ******************************************************************** 3作目のフリー小説です。 今回はちょっと今までとは雰囲気が違う3人です。 今までは色っぽい感じが全くなかったですが 今回はちょっと匂わせてみました。 題名の「穏やかな時間」というのは 世の中もそれほど差し迫った状態ではなく、総司も労咳に罹っていないし セイちゃんは歳とも総司とも恋仲でない。 そういう「穏やかな状態」を表わしました。 そして、は〜ちゃんの挿絵。今回はギャグ風味ですね! セイちゃんが可愛いですvvv 「五萬打」本当にありがとうございました。 今後ともよろしくお願いいたします。 =菜緒りん= 2004.09.03 |
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先日の3周年記念の時にごっそり頂きました、第四弾。五萬打記念小説&イラストです。
お話といい、ころがしたくなるような可愛いセイちゃんのイラストも、何もかもが、私のツボを押しまくりなんですよ!!ストライクゾーンど真ん中!みたいな。二人にをときめかせておいて、全然気付かないセイちゃんが素敵です!そろそろ関係に進展がありそうな予感・・・? めちゃ気になります! 菜緒りん様、春日様、有難うございました!! |
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